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2013.07.12.11.35

At The Hop

音楽にも寿命というものはある。
ある種の人々は、そんな命題をつきつけられる事を、過大に忌み嫌うものだけれども、世界中のどんな地域、どんな時代にあっても、既に忘れ去られた音楽は、それこそ無尽蔵にあるのだ。
何者かが意を決して、墓堀の役目を引き受けない限り、それは決して、再び唄われる事も奏でられる事もないのだ。
しかも、だ。
いいかい。
誰かがそれを唄い続けない限り、誰かがそれを奏で続けない限り、ぼく達の誰も、それを再び聴く事は出来ない。

だけれども、亡くなる事も、老いる事も知らない、ある種の音楽が存在している様に、ぼく達には思えてしまう。
それはいつ聴いても若く、いつ唄っても若い。
それを聴いたり、唄ったりするぼく達が既に、老いさらばえて、棺桶の中に片脚を突っ込んでいたとしても、その音楽は、ぼく達が出逢った当時のままの姿で、ここに顕われる事が出来る。

だからこそ、そこに音楽の特異性を認め、そこにこそ、音楽の絶対性を信奉する人々が、ぼく達の前に立ちはだかるのだ。

信じたいモノは信じるがいい。だけれども、それはきみにしか通用しない方便さ。
目の前に臥たわる誤謬に眼を閉ざさないでもらいたいのだ。

もしも、きみの音楽がいつまでも永遠に若くあり続けているとしたら、それはその為の装置が稼働しているのにすぎない。
誰かが用意周到に手配した、延命装置なのだ。
それが稼働しつづけている限り、きみにとっての音楽は、永遠の生命を活きる事が出来るのかもしれない。
さもなければ、その装置によって設定された、ごく限られた環境下において、それは生き存えているだけの事かもしれない。

勿論、それに眼を背けて、きみはきみの音楽とともにある事は可能かもしれない。
だけれども、忘れてはいけない。

誰かがそれを唄い続けない限り、誰かがそれを奏で続けない限り、ぼく達の誰も、それを再び聴く事は出来ないのだ。
それはきみだけが例外でもないし、きみの信じる音楽だけが例外でもない。

[the text inspired from the song "At The Hop" performed by Danny And The Juniors from the album "Goldies Oldies Best Hit 20 -Susie-"]


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