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2013.07.02.06.07

きょうりゅうせんしゃ

恐竜戦車 (Dinosaur Tank) は、テレビ番組『ウルトラセブン (Ultraseven)』 [19671968TBS系列放映] の第28話『700キロを突っ走れ! (The 700 Kilometer Run!)』 [監督:満田かずほ 脚本:上原正三 特技監督:高野宏一] に登場する。
名は体を顕すがごとく、無限軌道 (Caterpillar Tracks) で走行する戦闘車輛の上部に、巨大な一対の前肢と尾を持つ巨大爬虫類 (Dinosaur) が搭乗している [後肢は退化したのか、もしくはその痕跡部の形状を観る限り、人為で切除されている可能性がある]。
名称のインパクトと同時に、いや、それに勝るとも劣らない、肢体と言うべきなのか構造と言うべきなのか、外観のインパクトによって決して、忘れる事の出来ない"怪獣"なのである。

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だけれども、第28話『700キロを突っ走れ! (The 700 Kilometer Run!)』 [監督:満田かずほ 脚本:上原正三 特技監督:高野宏一] という物語の本筋は、恐竜戦車 (Dinosaur Tank) という特異な形態の怪獣の方にはない。物語は、秘密兵器スパイナーを巡る、人類と侵略者の攻防を語るのに、その多くを割いている。

このテレビ番組シリーズにおけるヒロイン、ウルトラ警備隊員 (The Ultra Garrison) 友里アンヌ (Anne Yuri) 役を担ったひし美ゆり子 (Yuriko Hishimi) はその主著『セブンセブンセブン - アンヌ再び…』で、この物語を以下の様に、紹介している。

『高性能火薬"スパイナー"を実験場に運ぶため、ウルトラ警備隊が七00キロラリーのラリー車を駆る! この作品の主役は、古谷さんでした。アマギがラリー車に乗った隊員たちのイニシアチブをとり、キル星人の攻撃をかわして、無事に目的地に到着。しかし、それは囮で本物は別のジープに積み込まれていた ......。隊員たちは、見事に一杯食わされたわけです。
車に危険物を搭載して目的地まで走る。ちょっと、フランス映画の名作『恐怖の報酬』に似た雰囲気の話です<以下略>』

そして、その隊員達のイニシアティブを握るべきアマギ隊員 (Amagi) [演:古谷敏 ( Bin "Satoshi" Furuya)] が幼少時の心的外傷 (Psychological Trauma) から爆発物恐怖症であり、それを克服させる為の、キリヤマ・カオル隊長 (Commander Kaoru Kiriyama) [演:中山昭二 (Shoji Nakayama)] の采配であった。

と、言う部分に着目すると、トンネル堀の名人でありながら閉所恐怖症 (Claustrophobia) に罹った、その名もトンネル王 (The Tunnel King) ことダニエル・ヴェリンスキー (Flight Lieutenant Danny Velinski) [演:チャールズ・ブロンソン (Charles Bronson)] のエピソードが物語にひとつの緊張を与えられる事になった映画『大脱走 (The Great Escape)』 [ジョン・スタージェス (John Sturges) 監督作品 1963年制作] も、思い浮かべる事が出来るかもしれない。
まぁ、尤も、内心の恐怖心や心的外傷 (Psychological Trauma) を克服して、己に課せられた使命を完遂する、という物語は、あまたにあるのだけれども、ぼくにとっては、その代表的なナラトロジーが、映画『大脱走 (The Great Escape)』 [ジョン・スタージェス (John Sturges) 監督作品 1963年制作] におけるダニエル・ヴェリンスキー (Flight Lieutenant Danny Velinski) [演:チャールズ・ブロンソン (Charles Bronson)] の挿話なのである。
だけれども。
脱走の為の狭い暗い長い隧道を掘削しなければならない人員が閉所恐怖症 (Claustrophobia) であるという、半ば語義矛盾でもある上に、己の自己同一性 (Self Identity) も存在意義 (raison d'etre) も問われかねない様な、致命的な欠陥を帯びているという設定は、地球防衛の為に最前線で侵略者と対峙しなければならないウルトラ警備隊員 (The Ultra Garrison) がよりによって、爆発物恐怖症であるというそれとあまりによく似ている。

あと、余談めかして備忘録的に書いておくと、自動車レースの渦中に、その参加者に身をやつして、退っ引きならないもうひとつのミッションを達成するという物語は、テレビ番組『ルパン三世 (Lupin The Third)』 [19711972日本テレビ系列放映] の栄えある第1話『ルパンは燃えているか (Is Lupin Burning...?!)』ともよく似ている。これは原作マンガ『ルパン三世 (Lupin The Third)』 [モンキー・パンチ (Monkey Punch) 作 Lupin The Third)』 [19671969漫画アクション連載] の第56話『DEAD・HEAT』に依ったモノ。
どちらかがどちらかから『発想を得たのかもしれません』と思われても、致し方ない様に思えるが、如何だろうか。

次回は「」。

附記 1:
恐竜戦車 (Dinosaur Tank) について、もう少し書き出してみる。
通常の形態の戦車 (Tank) であるならば、その上部は、強力な火器を装備しているのが一般的なモノであると思う。それが、恐竜戦車 (Dinosaur Tank) に於いては、火器の代わりとなるのが、生物なのだ。これを兵器という観点から観れば、非常に腑に落ちないところに恐竜戦車 (Dinosaur Tank) はいる事になる。
上部にある恐竜 (Dinosaur) は、ビーム光線を発する事は出来るものの、それは決して致命的な武器とはなっていない。むしろ、その下部である戦車 (Tank) の機動力と重量に頼った肉弾戦をウルトラセブン (Ultra Seven) と行う事になる。
例えば、恐竜部 (Dinosaur Section) と戦車部 (Tank Section) が分離して2方向から迫撃する事もあり得そうなのに、それはない。それに第一、仮令、肉弾戦となっても、一対の前肢はなんらかの攻撃をする訳ではない。ただ単に、恐竜部 (Dinosaur Section) の肉体を戦車部 (Tank Section) に固定する為にのみ、機能している様にしか見えない。
これを一体、どう解釈したら良いのだろうか。
もしかしたら、恐竜戦車 (Dinosaur Tank) という"武器"は、未だ試作品の域を出ていないのかもしれない。
と、いうのは、このエピソードに於ける侵略者、キル星人 (Alien Kill) は、地球人類の最新兵器であるスパイナーの破壊もしくは奪還を、その目的としていた。つまり、技術力や開発力においては、キル星人 (Alien Kill) は地球人類と同等ないしはそれよりも劣っている可能性があるのである。
人類史上、近代兵器としての戦車 (Tank)、マーク I (Mark I Tank) が初めて実戦に投入されたソンムの戦い (Battle Of the Somme) に於いては、それ自身により攻撃力や破壊力以上に、初めて観るモノの恐怖感の方が、敵に対しては威力があったと聞く。実戦では、期待されていた程の能力は発揮できずに、故障車の続出であったと言うのだ。
つまり、それと同じ様な効果が、恐竜戦車 (Dinosaur Tank) にもあったのではないだろうか。物語上での、ウルトラ警備隊員 (The Ultra Garrison) の驚き、そしてそれ以上に、その物語を観ていたぼく達の驚き。
恐竜戦車 (Dinosaur Tank) という"兵器"が登場したのは、正にそれが彼の最大の任務だったのかもしれない。

附記 2.:
それと同時に、外宇宙からの侵略とそれへの防衛が主要なテーマである『ウルトラセブン (Ultraseven)』 [19671968TBS系列放映] に於いて、侵略者である宇宙人の使役している怪獣とは、一体、なんなのだろう、という事も、ぼく達は考えてみてもいいのかもしれない。
第3話『湖のひみつ (The Secret Of The Lake)』 [監督:満田かずほ 脚本:金城哲夫 特技監督:高野宏一] に於いて、ピット星人 (Alien Pitt) はエレキング (Eleking) の事をペットと称していた筈だ。
また、それとは逆に、侵略の為の兵器であるとしたら、第14話・第15話『ウルトラ警備隊西へ (Westward, Ultra Garrison)』 [監督:満田かずほ 脚本:金城哲夫 特技監督:高野宏一] でのペダン星人 (Alien Pedan) にとってのキングジョー (King Joe) の様に、ロボットであってもいい訳だ。
何故、侵略者は生物=怪獣を、侵略の走狗として起用するのか。
最終話『史上最大の侵略 (The Greatest Invasion In History)』 [監督:満田かずほ 脚本:金城哲夫 特技監督:高野宏一] で、致命的な程に敗退した怪獣パンドン (Pandon) をサイボーグ化して蘇らせたゴース星人 (Alien Ghoth) という例は、意外とその類例は少ないのだ。

附記 3.:
無生物と生物、無機物と有機体との完全なる結合をテーゼとする、ハンス・ルドルフ・ギーガー (Hans Rudolf Giger) のバイオメカノイド (Biomechanoid) を参照するという考え方は、あるにはあるのだけれども ....。
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