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2013.06.16.21.35

『オリジナル・ジェリー・マリガン・カルテット (GERRY MULLIGAN QUARTET)』 by ジェリー・マリガン (GERRY MULLIGAN)

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彼らの存在を初めて知ったのは、ここでも映画『真夏の夜のジャズ (Jazz On A Summer's Day) 』 [バート・スターン (Bert Stern)・アラム・A・アヴァキアン (Aram Avakian) 監督作品 1960年制作] である。
勿論、その映画では、リーダーであるジェリー・マリガン (Gerry Mulligan) [bs] と共にフロントを勤めるのは、本作品の一方の主役、チェット・ベイカー (Chet Baker) [tp] ではない。アート・ファーマー (Art Farmer) [tp] だ。
そして、この作品でドラムス (Drums) を担当しているチコ・ハミルトン (Chico Hamilton) [dr] は、その映画では、自身のユニット、チコ・ハミルトン・クインテット (Chico Hamilton Quintet) として、最も印象深い演奏を聴かせてくれる [彼の作品はここで既に紹介済みだ]。
なにせ、本作品が収録されたのは1952年。映画が撮影された1958年から6年も前の作品だ。
参加メンバーそれぞれに様々なドラマがあったとしても不思議ではない。

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と言う様な語り口をしてしまえば、1952年の彼らの事を書くべきなのかもしれないけれども、もう少し、1958年に開催された第5回ニューポート・ジャズ・フェスティバル (Newport Jazz Festival V)、つまり映画『真夏の夜のジャズ (Jazz On A Summer's Day) 』 [バート・スターン (Bert Stern)・アラム・A・アヴァキアン (Aram Avakian) 監督作品 1960年制作] でのジェリー・マリガン・カルテット (Gerry Mulligan Quartet) の事を語っておこう。

演奏曲目は『キャッチ・アズ・キャッチ・キャン (Catch As Catch Can)』。既に映画の中では佳境を迎えていて、闇の中に深紅のジャケットを着たジェリー・マリガン (Gerry Mulligan) [bs] が、映えに映えている。舞台下から仰角に煽るカメラの視点から観れば、太々しい様にも挑戦的にも挑発的にも観える。
曲の展開 / 編曲によるからなのだろうか。メロディ部にブレイクが多いからなのだろうか。ワン・アクション、ワン・アクションで自身の抱えるバリトン・サックス (Baritone Sax) をブロウする。その一挙手一投足が決まっている。その間合いを見定める姿勢、イン・テンポでの立ち居振舞いが、見事に様になって、格好いいのだ。楽器が身体の一部となって蠢き、身体が楽器の一部となって奏でる。
映画の中では、決して大きくフィーチャーされてはいないものの、逆に誰しもが想い描くジャズ (Jazz) の典型がそこにある様だ。
ぼく達のパブリック・イメージ (Public Image) としてある、やさぐれたヤクザなサックス・プレイヤーという映像美を充分に堪能させてくれるのが、このシーンでありこの楽曲でありジェリー・マリガン (Gerry Mulligan) [bs] なのである。

そんなイメージに引きずられるままに、ジェリー・マリガン (Gerry Mulligan) [bs] というアーティストを調べてみると、いくらでも、そのイメージを増幅させてくれる事象に出逢う。
2管での対位的 (Kontrapunkt) な演奏を可能とする為に、ピアノレスのカルテット (Pianoless Quartet) とした事、その映画でのアート・ファーマー (Art Farmer) [tp] の前任者はボブ・ブルックマイヤー (Bob Brookmeyer) [vtb] であり更に遡るとチェット・ベイカー (Chet Baker) [tp] であり、その双頭ユニットはウエストコースト・ジャズ (West Coast Jazz) を代表する人気と実力を兼ね備えていた事、等々。

だけれども、その映画を観た当時、既に名作のCD復刻は盛んだったけれども、何故だか、彼の作品、とりわけ、チェット・ベイカー (Chet Baker) [tp] が参加した時代の作品復刻は手つかずだったのである。

そおゆう理由で、ここで取り上げる事となった『オリジナル・ジェリー・マリガン・カルテット (Gerry Mulligan Quartet)』 [1952, 1953年発表] を入手出来たのは、随分の後の事なのである。

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それまでは、それと"似て非なる" [もしくは"非なるに似ている"] ジャケット・デザインの『ジェリー・マリガン・カルテット・アット・ストーリーヴィル (Gerry Mulligan Quartet At Storyville)』 [1956年発表] を愛聴していた。

ところで、1950年代 (1950s) に隆盛を魅せた、ウエストコースト・ジャズ (West Coast Jazz) は、この作品『オリジナル・ジェリー・マリガン・カルテット (Gerry Mulligan Quartet)』 [1952, 1953年発表] から始まったと言う。

勿論、それは誇張でもなんでもないある事実に即している、と断言出来る側面は、多分にある。
少なくとも、この編成によって発表された『バーニーズ・チューン (Bernie's Tune) / 木の葉の子守唄 (Lullaby Of The Leaves)』は、1952年に煩雑にラジオでオン・エアされて、彼らの最初のヒットとなったばかりでなく、西海岸のジャズ・シーン (West Coast Jazz Scene) にとっても最初のヒット作となったのだ。

そして、それ以上に大事な事は、このジャケットに写っている4人のメンバーのうち、3人がウエストコースト・ジャズ (West Coast Jazz) に於いて重要でかつ無視出来ない存在感を放つ事になるからだ。
その3人とは、言うまでもなく先程から言及されている、チコ・ハミルトン (Chico Hamilton) [dr]、チェット・ベイカー (Chet Baker) [tp]、そして本作品のリーダーであるジェリー・マリガン (Gerry Mulligan) [bs] である。

とは言うモノの、彼らの音楽と活動と、その結果としての作品群を、ウエストコースト・ジャズ (West Coast Jazz) の典型と看做そうとすると、そこには多分に無理で無茶な視点が存在しない訳ではない。

例えば、チコ・ハミルトン (Chico Hamilton) [dr] の率いるクインテット (Quintet) は編成も特異な上に、そのリーダーであるチコ・ハミルトン (Chico Hamilton) [dr] のドラムス (Drums) は、重い。その重さだけで、裕にウエストコースト・ジャズ (West Coast Jazz) のサウンドからは、はみ出している。典雅な室内楽的な彼らの演奏は、編曲重視と言われるウエストコースト・ジャズ (West Coast Jazz) の要素を充分に蓄えているモノの、チェリスト (Cellist) をフィーチャリングしてあるだけに、所謂典型的なジャズ (Jazz) から一歩も二歩も踏み外している。

それと同様の事はチェット・ベイカー (Chet Baker) [tp] にも言えて、彼の人気と評価は、ウエストコースト・ジャズ (West Coast Jazz) の勃興と同時に興ったモノではあるものの、その枠内に収まってはいないと言える。その大枠であるジャズ (Jazz) という範疇で語るべきものでもあるし、さらに言えば、トランぺッター (Chet Baker) [Trumpet) としての彼よりもヴォーカリスト (Vocalist) としての彼の評価は、もっと広い沃野でなされているモノかもしれない。

無論、リーダーであるジェリー・マリガン (Gerry Mulligan) [bs] も、同じ事が言える。
彼自身は東海岸 (East Coast) の出身でありジャズ・ミュージシャン (Jazz Musician) としてのキャリアも東海岸 (East Coast) から始まり、チェット・ベイカー (Chet Baker) [tp] との双頭ユニットが霧散霧消した後は、活動拠点を再び東海岸 (East Coast) に戻した ... という形骸的な事柄は、あるけれども、それだけではない。
編曲重視のウエストコースト・ジャズ (West Coast Jazz) にあって、その編曲の要とも言えるピアノを排除したこのカルテット (Pianoless Quartet) は、それだけで特異な存在なのである。

なにか足りないと言おうとすれば、言えない事もない。だけれども、その足りない部分を、その演奏を聴いているモノは、想像力ないしは創造力で補い、さらに豊かなフレージングを産み出そうとするのだ。さもなければ、それを誘発するナニかをこの演奏の中に見いだす事が出来るのではないだろうか。

このユニットがピアノレス (Pianoless Quartet) となった理由は諸説ある。
最初のセッションに誘われたピアニスト (Pianist)、ジミー・ロウルズ (Jimmy Rowles [p] がその約束を反故にしたとか、彼らが出演する予定のジャズ・クラブ『ヘイグ (The Haig)』が手狭な為にピアノレス (Pianoless Quartet) がその出演条件だったとか、ピアノ (Piano) が不在のジャズ、デキシーランド・ジャズ (Dixieland Jazz) のルネッサンスを謀ったとか、いくらでも登場する。
どれもが尤もらしく、どれもがそれらしく語られているから、そんな幾つもの要因が重なった結果ではないのだろうか。
決して、ジェリー・マリガン (Gerry Mulligan) [bs] 自身もピアノ (Piano) 演奏が出来るから、ピアニスト (Pianist) としての自身の席を確保する為に、そこを空白にしたという理由ではないのだ。

但し、個人的には、優秀なアレンジャーとしての評価が自身のキャリアのスタート地点だったジェリー・マリガン (Gerry Mulligan) [bs] が、それを評価されて参加したマイルス・デイヴィス (Miles Davis) [tp] の『クールの誕生 (Birth Of The Cool)』 [1952, 1948年発表] の、興行的失敗が後々影響を遺したんぢゃあないだろうか。
なんて考えたいのはやまやまだけれども、その作品は未聴なんだよね。だから、語る訳にも騙る訳にもいかないのだ。
それよりも、むしろ、[時代考証を別にして] モード (Mode) との関係性を考えるべきなんだろうか。

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なお、ぼくの入手したCD『オリジナル・ジェリー・マリガン・カルテット (Gerry Mulligan Quartet)』 [1952, 1953年発表] は、『PJLP - 1』と [上記左画面]『PJLP - 5』 [上記右画面]という10インチEP2作をカップリングしたもの。
その後、ウエストコースト・ジャズ (West Coast Jazz) を撮影し続ける事になるウイリアム・クラクストン (William Claxton) が手がけたジャケットは後者のみ 。
前者は、撮影がペル・トーマス、デザインがボブ・グィーディとの事だが、未確認です [英文表記自体も解らないのです]。

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10インチEP発売のその後、LPとして発表された作品とは、収録曲が異なっている [上記掲載画像がそのLP『PJ - 1207』のデザイン、こちらはこちらで趣のあるデザインなんだけれどもね]。

ものづくし(click in the world!)129. :
『オリジナル・ジェリー・マリガン・カルテット (GERRY MULLIGAN QUARTET)』
by ジェリー・マリガン (GERRY MULLIGAN)


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オリジナル・ジェリー・マリガン・カルテット (GERRY MULLIGAN QUARTET)』 by ジェリー・マリガン (GERRY MULLIGAN)

1. バーニーズ・チューン
 BERNIE'S TUNE (Miller) 2' 52"
2. ウォーキン・シューズ
 WALKIN' SHOES (Mulligan) 3' 11"
3. ナイツ・アット・ザ・ターンテーブル
 NIGHTS AT THE TURNTABLE (Mulligan) 2' 53"
4. 木の葉の子守唄
 LULLABY OF THE LEAVES (Young - Petkere) 3' 14"
5. フレネシー
 FRENESI (Dominguez - Whitcup) 3' 09"
6. フリーウェイ
 FREEWAY (C. Baker) 2' 44"
7. ソフト・シュー
 SOFT SHOE (Mulligan) 2' 38"
8. アーント・ユー・グラッド・ユー・アー・ユー
 AREN'T YOU GLAD YOU'RE YOU (Burke - Van Heusen) 2' 51"
9. アイ・メイ・ビー・ロング
 I MAY BE WRONG (De Lange - Van Heusen) 2' 51"
10. アイム・ビギニング・トゥ・シー・ザ・ライト
 I'M BEGINNING TO SEE THE LIGHT (Ellington - James - Hodges - George) 3' 36"
11. ザ・ニアネス・オブ・ユー
 THE NEARNESS OF YOU (Carmichael - Washington) 2' 52"
12. 二人でお茶を
 TEA FOR TWO (Youmans - Caesar) 2' 47"
13. アッター・ケイオス #1
 UTTER CHAOS #1 (Unknown) 0' 34"
14. ラヴ・ミー・オア・リーヴ・ミー
 LOVE ME OR LEAVE ME (Gus Kahn - Walter Donaldson) 2' 43"
15. ジェルー
 JERU (Mulligan) 2' 30"
16. ダーン・ザット・ドリーム
 DARN THAT DREAM (De Lange - Van Heusen) 3' 49"
17. スイング・ハウス
 SWING HOUSE (Mulligan) 2' 54"
18. アッター・ケイオス #2
 UTTER CHAOS #2 (Unknown) 0' 31"

チェット・ベイカー (tp)
ジェリー・マリガン (bs)
ボブ・ホイットロック、カーソン・スミス (b)
チコ・ハミルトンラリー・バンカー (ds)
1952, 1953年録音

CHET BAKER (tp), GERRY MULLIGAN (bs), BOB WHITLOCK (b), CHICO HAMILTON (ds),
Recorded in L.A. Aug. 16, 1952 (1, 4), Oct. 15 & 16 1952 (2, 3, 58)
CARSON SMITH (b), LARRY BUNKER (ds) replace WHITLOCK, HAMILTON,
Recorded in L.A. Apr.27, 1953 (14, 15, 17), Apr. 29, 1953 (912, 16)
details unknown (13, 18)

A RICHARD BOCK PRODUCTION
Photograph and design : William Claxton
Pressed on finest quality vinylite.

Original Liner-notes by Gerry Mulligan and Richard Bock

Copyright 1953 Pacific Jazz Record Co. Hollywood, California

ぼくの所有している国内盤CDは、『We Love Jazz アンコール』シリーズの一貫として発売されたもので、世界初CD化作品。解説を後藤誠が執筆している。
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