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2013.05.24.11.00

Tonight's The Night [Gonna Be Alright]

焚火は細々とだが、燃えている。
傾斜の方向と、かろうじてのぞく夜空で、そととなかとの違いが解る。
運良く辿り着いたこの洞窟で、夜露だけは避けられそうだ。
だが、枯れ木とはいうものの、予想以上に燃えにくいものなのだ。
それだけは気をつけねばならない。
夜はまだ続く。そしてその間だけ、ぼく達の身の安全は保障されているのだ。

暖をとろうと、掌をかざせば、血塗れなのが解る。誰のものなのだろうか。何時のものなのだろうか。実際に利き腕は、酷い怪我だ。身動きしようとすれば、痛みが走る。だが運良く、出血は止まっている。

あいつと一緒で良かった。

他のみんなは大丈夫だろうか。最初の取り決めどおり、仲間はばらばらに、異なる方向へと逃げ出した。それは、追っ手を混乱させる為でもあるものの、同時に、誰かが、囮となって彼らの追撃を許す事だ。

仲間の誰かが、辿り着いて、任務を完遂すれば良いのだから。
それは誰しもが覚悟している筈だ。

実際に、ぼく達が囮となった可能性は、否定出来ない。

勿論、やつらを振り切って、目指す場所に辿り着かないとも、限らない。

どちらに転がっているのか。今は皆目、見当はつかない。だが、どこかで決断を下さねばならないのだ。

仲間との連絡は、許されていない。誰が、いつ、どこで、どうなっているのか、それは一切、解らない。総ての行動と判断は、個人個人の力量に委ねられているのだ。

いまのところ、身の安全は保障されている。追っ手の気配は、いまだ感じられていない。
いや、でもそれは今夜限りの事かもしれない。やつらはこのすぐそばまで来ていて、ぼく達同様に、野営しているかもしれないのだから。

疲れた。

だが、それ以上に、あいつが消耗している。ここまでぼくについて来るのが、やっとだったのだろう。寝息すら聴こえない。

もうしばらく。それまでの我慢だ。今、ふたりとも寝入る訳にはいかない。

夜が明けると同時にここを起つとしたら、あとどれだけあいつを寝かせておけばいいいのだ。そして、ほんのしばらくの間だけでも、おれは眼を閉じる事が出来るのか。

夜だ。

星はみえない。薄墨を塗った様に、雲が低くたれ込んでいる。
雨が降るかもしれない。

[the text inspired from the song "Tonight's The Night [Gonna Be Alright]" from the album "A Night On The Town" by Rod Stewart.]


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