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2013.03.31.14.15

死のうとした夜のお終り 最終話:The End Of Nights We Tried To Die episode epilogue

わずかばかりの金を握りしめて、その店にはいった。

使ってしまえば、それで最期の金だ。

はらはへっている。のどもかわいた。しかも、さっきから酷い頭痛もする。

飯なのか。みずなのか。それともくすりなのだろうか。
そこからぼくは、この金のつかいみちを考えなければならないのだ。

促されるままにエスカレータに乗り、促されるままにある階で降りた。
春休みも後半だから、親子連ればかりだ。ここも。

様々な生活用品が軒を連ねる中を歩き回れば、嫌でも辿り着く。
台所用品売場の一角には、そこで使われるのに相応しい刃物が夥しく、並んでいるのだ。

ひとつひとつを手に取り、さも、己の求めに応じる商品か否か、矯めつ眇めつしてしまう。
解っている。ぼくは、その商品に記された用途とは、無縁のモノを探し求めているのだ。むしろ、用があるのは、大きな赤文字で記された注意事項の方なのだ。

ゆっくりとみてまわる。必要以上にゆっくり、と。

時間はいくらでもあるのだし、その一方で使える金はこれだけしかない。
やり直しは出来ないし、そんなもの金輪際、願い下げだ。
一挙にかたをつける、それだけしかないのだ。

いつか、捜査官が数名この店に立ち寄って、ぼくの挙動を収めた映像を押収するのだろうか。
そんな、莫迦な。そんなに奴らは閑ぢゃあない。
結果をみれば自ずと原因は明らかだ。ぼくの口から手を突っ込みさえすれば、すべては自明さ。つまり、はらがへってはらがへって、仕様がなかったのさ。

ああ、馬鹿馬鹿しい。
愚かな考えに横着してしまって己を呪って、捜し物をする気も失せた。

日曜大工売り場を廻って、それで仕舞いにしよう。
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