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2013.02.11.00.08

これもまた悪い夢の続き 52.

こんな夢をみた。

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"Kaimono Boogie : Shopping Boogie-woogie" sung by UA for the album "Kaba",
illustrated by Fusako Kuramochi

いつのまにか、社員専用のフロアに紛れ込んでしまったらしい。本来ならば小綺麗に飾り付けられている筈のデパートの一角が、雑然とした小汚い様相を呈している。
ぼくは、さっきまで最寄り駅近辺にいくつもあるデパートのひとつを選び、そこで時間外れの食事を摂ろうとしているのだ。それがどうだ、勝手気ままに歩いていたら、観た事も来た事もない一角に辿り着いてしまっている。

まるで、撮影現場を裏側から観たかの様に、大きな木枠や邪魔臭い発泡スチロールの固まりがそのまま放置してあって、それもひどく危ういバランスの上で調和がとれているのだ。つまり、ほんのちょっとでも余計な負荷がかかれば、立ち所に崩れ去ってしまうのに、違いない。

ふと、観ると狭いドアがある。
そして、そのドア・ノブの脇には旧式のボタンがよっつ。それには上から順に、(↑)、(↓)、(開)、(閉)とある。社員専用のエレベーターであるらしい。

おそるおそるドア・ノブを廻して扉を引くと、先客がいる。このデパート独特の制服を着た、若い社員だ。彼を通す為に脇に避けると、会釈をして降りていく。
ぼくが乗る番だ。

エレベーターに乗り込むと、入り口こそ狭いものの、奥行きは恐ろしい程に広い。小学校の廊下並みの長さがあるのだ。そして、ふと右を向くと、これまた広い廊下が延びている。L字型の奇妙なかたちをしているのだ。しかも、さらに不思議な事にそのL字型のエレベーターは、壁が丸見えなのだ。壁がみえるのではない、壁の向こうがみえるのだ。
だから、従業員専用のフロアの一角にありながらも、デパート内部の、テナントや従業員の有様が筒抜けに観えてしまっているのだ。

そんな不思議な光景にくらくらしながらも、最上階のボタンを押す。さっきから、おなかがすいてたまらない。レストラン・フロアへ行こう。

そうして、L字型のエレベーターが上昇している間、不思議な光景をずっと観続けている。単純に考えれば、窓の外から眺めながら、ゆっくりとデパートのフロアを上昇している時に観るそれと、さして、代わり映えしない筈なのだ。
だけれども、本来は誰にも観えない場所からのぞいているだけに、文字通りに裏側からデパートの暗部を観察している様な、不思議な心持ちになってくる。

最上階に辿り着いたら、あたりは凄く閑散としている。食事を摂るには、中途半端な時間帯だから、というだけの理由ではない。がらんとして、だだっ広く、紙くずやら木切れやらが、落ちるに任せてそのまま放置されているのである。まるで、建設中のフロアの様だ。いくつかの照明も消えていて、本来ならば、店の存在を知らせる筈のイルミネーションも消えたままだ。

そこで、ぼくはようやく憶い出す。このデパートは来月末で閉店してしまうのだ。
このフロアのテナントは、既に撤収を終えていて、残骸ばかりが遺されているのだ。

ぼくは、食事を諦めて、階段を降りる事にする。もう、あの奇妙なエレベーターの在処が解らないのだ。

数フロアを降りたところで、ぼくとは反対に、上を目指して駆け上ってくるヒトがいる。観るともなしに目が合ってしまって、そこでぼくの名を叫ぶ。
以前、取引のあった人物なのだろうか。ぼくはすっかり憶い出せないけれども、相手の調子に合わせて、彼の語るがままに任せてみる。

以前、勤めていたところはもう随分前に辞めてしまった。いまは、ここにいくつかの商品を卸している。あのひとは元気だろうか。稼いだ金は全部、子供達行きですよ。
そんなたわいもない話ばかりだ。

これもなんかの機会だから名刺をくれというので、ぼくも応ずる事にする。彼の名刺を観れば、少なくとも名前も解るだろうし、彼が何者なのかも判然とするだろう。

だけれども、ぼくの名刺入には、ぼくには関係のないモノばかりで溢れている。名刺、には違いないのだけれども、名ばかりの名刺ばかりだ。どれも一向に、誰も一向に、ぼくが必要としていないモノばかりで、ぼくが必要なモノは一切、出てこない。
否、それ以前にぼく自身のものがない。

慌てて鞄の中も捜しても、いつもならある筈の予備のケースもない。名前の解らない彼には非礼を詫びて、彼の名刺にあるアドレス宛に、メールするからとことわる。
そんな取り繕いがおわるや否や、彼は慌てて階段を駆け上ってゆく。

多分、もう二度と逢う事はないだろう。ぼく自身、彼宛にメールするかどうかも怪しいモノだ。

階段を下りきったところで、さっきの騒ぎで、鞄の中がめちゃくちゃになっている事を憶い出す。踊り場までもう一度上って、中身をあけて整理をする。

なかなか収まりきらない中身を何度も何度も出し入れすると、ぼくの目の前にMが顕われる。
急がないと時間がない。なにをやっている。お前は遅れてもいいが、鞄だけは間に合わなければならない。
そんな、ぼくにとっては不明な事をまくしたてて、突然、鞄を取り上げて、走り出してしまう。

彼をすぐさま捕まえて鞄を取り上げたいところだが、未整理の書類が散乱してしまっている。ぼくはそれをひとつひとつ拾い上げながら、彼の行方を追う。

外に出ればあたりはもう真っ暗で、雨が降っている。濡れた路面に、駅前の雑踏が光り輝いている。

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the poster for the movie "Au Bonheur des Dames" directed by Andre Cayatte,
adapted from the novel "Au Bonheur des Dames" written by Emile Zola
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