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2013.01.18.07.41

Beat The Beast

母は、くちよりも先にてがでるひとだった。

だから、ぶたれてから叱られた。
もしくは、叱る前にたたかれた。

だけれども、知らぬ間に、母の仕打ちを受けていた訳ではない様だ。
むしろ、これをしたから怒られる事も、これが出来ないから怒られる事も、彼女の平手がとんでくる前に、よく解っていた、気づいていた様なのである。

だから、彼女の気配を感じたその直後に、既に、詫びる言葉が無意識に発せられていた。

ごめんなさい。
もう、しません。
ちゃんとします。

それでも、納得がいかないときもある。それは、彼女からこんな言葉が発せられた時だ。

おにいさんでしょ。

ぼくには、三歳下の弟がいた。近隣には、年下の従兄弟や従姉妹も住んでいて、なにかというと、ぼくはおにいさんだ。

しかも、母の平手を浴びて、その叱責を浴びた殆どの場合は、ぼく自身が、兄としての、地位や権利を主張したり行使した場合だった。

だから、おにいさんであるが故に、彼女の平手を浴びている、そんな自覚さえしていた。

だけれども、ぼくは知っている。
ある日、母が父に愚痴を言っているのを。

なぜ、わたしが叱らなければならないの。
なぜ、わたしだけが嫌われなければならないの。

そんなふうに母から詰られていた父は、ぼく達に対しては、温和な表情だけをいつもたたえていた。

だからと言って、常にやさしいばかりの父ではない。
時として、彼の堪忍袋の緒が切れて、叱られる場合がある。

そんな時は、ものがとび、ものがひっくりかえされ、あたりは騒然とする。

父はかつてこんな事を言っていた。

こどもに暴力を揮うわけにはいかないからな。

確かに、父から直接、殴られたり蹴られたりした記憶はない。
だけれども、へこんだ壁や、破れた襖や、ひびのはいったちゃぶ台を観て、その時の記憶を、否が応でも、反芻せなばならないぼくがいるのだ。

[the text inspired from the song "Beat The Beast" for the album "Attitude" by Rip Rig + Panic feat. Neneh Cherry on vocal]


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