2023.09.20.08.12
てをゐ狗ひやく年のちにくると云ふ
かの尸はく亜の肌に抱かれて
をん國へわすれ形見を人質とし
燃ゆる火にぬけてころがる車輪かな
2023.09.20.08.12
ひとと化し夜ごと切歯の犬の舎
てをゐ狗ひやく年のちにくると云ふ かの尸はく亜の肌に抱かれて をん國へわすれ形見を人質とし 燃ゆる火にぬけてころがる車輪かな |
2023.09.13.08.00
秋のたになる子のやふに髑髏ゆれ
随じんはきよ無の瞳に怯ゑたり 殺さるるをんなはいつも黒髪で 死とおとめ霧笛なるまで踊つてゐる 容疑しやと御手洗だんご喰すなか |
2023.09.06.10.26
からからとからまわるだけくるま椅子
惨げきをしらぬかをして鰐の這ふ 新つまをそとにまたせてをいちよ株 はい駅舎でし発まつ霊とともに 浴さうにあかく爛れて土踏まず |
2023.08.30.08.24
かはらけが沙にまみれてあま晒し
若ごけののきを燕が去る季節 あか紙のうらに遺したけふのこん立 ろう匠がでし乞ふままに脱ゐでゆく 所体もち並びてかよふ蟻の戸わたり |
2023.08.23.08.16
里かへりをにの居ぬまに腎きよかな
彼がん過きのふ逢ふたり亡き妻に 破れた鏡に卑くつに嗤ふ黒まくの 迷ひねこ時くうのひずみで哭ひてゐる 頬なぞる埠たうのむかふのつめたい掌 |
2023.08.16.08.16
みよう日に都合がつかば時間りよかう
めい簿えてたづねてみらば葬ぎじやう ゆふ餉とき杓もぢ抱へてやつてくる とこ入りにきく座にあはくべにさして あの夜のこと妻につぐるやけふ誨師 |
2023.08.09.08.03
瘋癲のよう女まつてるもち月に
しぎ山で鳴らしてみたり5音かい ひじやう線ねこ1匹と警邏ちゆう 旧き朋の破戀もくろむ似非シラノ 買ひたてのひ傘おちよこでずぶ濡れに |
2023.08.02.08.19
赤ひめし匈どのくれた包囲まふ
ゆき暮れてふろう者おそつて仮のやど あか土に山羊にひかれてうる春を ゆびきつた黄泉から迎へにくるをとこ 鴨女しるや航空ぼかんのゆくところ |
2023.07.26.08.22
なつのあさ鬼灯くはえてよがらせる
なく蝦蟇のせおふた芒の揺れてゐる び男子がしこ女の女優に惚れたわけ じゆうさんし黄道に蛇遣がいるやふに おほ空の闇に蚱のをめく肚 |
2023.07.19.07.45
リハのまへ双娘とうたふ昇降機
みつくびと雑司ヶ谷の藪のなか 辶をのぼつてきえゆ阝 をか蒸気むげん軌道のほしい頃 咬んでみた腕ない母の脚のゆび |